元人気読者モデルの華やかなルックスと親しみやすいキャラクターで人気のフリーランス歯科衛生士・田内友貴さん。豊富なインプラントの臨床経験で培った技術や知識で、多くの歯科医師から信頼されている。満足度の高い歯科医療を提供するために自身のクリニックを開業するなど、自らが考える道を突き進む田内さんに、その想いをお伺いしました。
Profile
yuki DENTAL care院長
田内友貴(たうち・ゆき)
早くからインプラント専門歯科衛生士を目指し、東京や関西の有名クリニックでインプラントアシスタントの経験を積む。2020年には、自分が納得のいく歯科医療を提供したいと、歯科医師をはじめ精鋭スタッフを集め、「yuki DENTAL care」を開業。
yuki DENTAL care
https://yukidentalcare2020.com/
―インプラントのオペ介助やメインテナンスで有名な田内さんですが、最初から興味があったのでしょうか?
田内 歯科衛生士専門学校に通っているときから、インプラントに興味がありましたので、インプラント治療で有名な関西の歯科医院に就職しました。熱意を感じていただけたのか、新人にもかかわらずインプラント担当に任命していただき、早くからオペのアシスタントにも入らせていただいて本当に感謝しています。そうやって臨床経験を重ねるうちに、「インプラントメインテナンスのエキスパートになりたい」という想いが強くなっていきました。
―そんなに早くからインプラントに興味があったのですね。
田内 元々、外科医志望だったことも影響しているかもしれません。ただ、当時はまだインプラントのメインテナンス自体が確立されていなかったこともあり、手探り状態でしたね。そんなときに、勤めていた歯科医院が東京に分院をオープンさせるという話が出たので、情報を吸収したり発信したりするには東京が一番かなということで、異動を志願して東京に出てきました。また、臨床以外にも、休みの日に様々な国内外のセミナーに参加して勉強しました。若い頃はお給料のほとんどを勉強に費やしていたような気がしますね。
―インプラントのセミナーとなると歯科医師向けがほとんどかと思いますが。
田内 歯科医師向けの学会や講演会に参加していたので、歯科衛生士はほぼいらっしゃいませんでした。がむしゃらに勉強し、多くの場所で勉強熱心な先生と知り合いになったり、共にディスカッションしたりして知識も人脈も拡げていきました。
―インプラントアシスタントの実績はどれぐらいあるのでしょうか?
田内 銀座のクリニックに勤めているときは、インプラントのオペが週3、4日あり、午前午後で1日2回の日もありますので、週5、6回ぐらいはアシスタントに入っていたと思います。それが10年ですので、2000症例以上はいっているのではないでしょうか。執刀の先生に器具を直接渡す第一介助をいきなり任されたのですが、最初は怒られっぱなしでした。ノールックで手を出されて、そこに素早く滑りこますように渡さないといけないのですが、スムーズにいかなくて大変でしたね。経験を重ねていくうちに、オペの内容や流れをみて、サポートを完璧にできるようになりましたし、先生それぞれの癖ややり方を分析して、どの先生のアシスタントでもできるようになりました。それもこれも、最初に基礎のしっかりした厳しい先生の元で修行を積んだからだと思っています。
―インプラントのメインテナンスで重要視していることはありますか?
田内 まず、咬み合わせです。動きが生じる天然歯と動かないインプラントが混在する口腔内では、咬み合わせが少しずつ変わってきてしまいますので、スクリーニングしてチェックしていかなければいけません。クリーニングの際に咬み合わせにも注意を払って、ちょっとおかしいなという場合には、先生に相談して精密検査で調べてもらう。このような形で、歯科衛生士だけでなく歯科医師の先生と連携して診ていくことが重要だと考えています。もう一つ重要なのが、歯磨き指導です。天然歯からインプラントに変わることで、コンタクトのポイントも変わります。そうなると、天然歯のときと同様の磨き方ではなく、インプラントに応じたケア方法を考えなければいけませんし、清掃用具を変える必要も出てくるでしょう。例えば、今までフロスでいけていたものでも歯間ブラシに変えてみましょうとか、歯間ブラシでも大きなサイズに変えてみましょうとか。もちろん、患者さんによってすぐできる方とそうでない方がいらっしゃいますので、お一人おひとりのキャラクターに合わせてアドバイスしていくことが大切だと考えています。
―2020年には、ご自身のクリニックを開院されましたが、その経緯を教えて下さい。
田内 勤務時代やフリーランスとして様々なインプラント治療に立ち会ってきましたが、素晴らしい現場もあれば残念ながら逆にそうではない場合もありました。そういった中で、患者さんに対して最後まで責任を持てないというジレンマを感じるようになっていたのです。経験値があって確かな腕があり、何より、最後まで責任を持ってきちんとした治療をしたいという私と同じ気持ちを持った歯科医師たちに出会い、開業を決意しました。もちろんクリニック開設者は歯科医師である副院長になるのですが、開業資金は私が出しましたし、経営やマネジメントの部分も全て私が担っています。
―実際に開業してみて、ご苦労などありましたでしょう?
田内 経営面をはじめ、慣れないことが多く大変な面はありますが、満足度の高い歯科医療を提供するために頑張っています。おかげさまで口コミが広がって日本全国から患者さんが来られるようになりましたし、最近では、ドクターや歯科衛生士が見学を兼ねてメインテナンスに来られるケースも多くなりました。そもそもお金儲けをするために開業したわけではないですし、心から信頼できるスタッフとチームを組んで、納得いく歯科医療を提供して患者さんに喜んでいただければ、自ずと道は開けるだろうと考えています。
―人材育成のセミナーにも力を入れてらっしゃるのですね。
田内 10年間ぐらい、注力して講演やセミナーをやってきました。今の時代、集客するのも大変ですが、SNS等で発信するとバーッと集まっていただけるのでありがたいですね。ただ、勉強に熱心な人たちがいる中で、院長に来させられましたというような、熱がない方も一定数いらっしゃいます。そういった中で、本気で勉強したい人にだけ教えたいという想いが強くなりまして、昨年から公の大きなセミナーの開催を辞めることにしました。ただ、本気で学びたい人だったら、いつでも教えに行きたいと思っています。勉強するって本当に楽しいです。努力をすれば自信がついて仕事が楽しくなりますし、患者さんもハッピーになります。そうしたことを共有したいですし、みんな一丸となって患者さんを守ろうよというスローガンでやっていきたいですね。それによって、インプラント患者さんのケアをしっかりできる歯科衛生士が一人でも二人でも増えてくれれば嬉しいです。