どの歯科医院も「外国人はうちには来ない」、「今のままで十分」といった考えは通用しない時代になっています。
外国人患者さんの価値観や考え方に寄り添って業務をおこなうことができるよう、
「求められる対応」、「現場での心構え」、「具体的なツール」の3本に分けてご紹介するシリーズ。
今回は中編、「現場での心構え」についてピックアップします!
まずは自院の役割や受け入れの現状を把握。

一口に外国人の患者さんと言っても、旅行者(訪日外国人)が多いのか、働いている人(在留外国人)が多いのか、どの国、どの言語の人が多いのか、さらに、クリニックの機能や役割等によって相応しい形は異なってきます。
どの国の患者さんであっても、日本人患者さんと同様の、安心で安全な医療を提供しなければならないことはもちろんです。
また、医院スタッフの外国人患者対応に伴う不安やストレスを軽減させ、効率的に医療を提供するためにも一定の体制整備は欠かせません。
例えば、以下の数値について把握しておくと良いでしょう。
正確な数字でなくおおよその数の把握でも最初は構いません。
- 外国人患者の人数
- 外国人患者の国籍・言語ごとの来院人数
- 外国人患者の種類(訪日外国人・在留外国人・渡航患者)ごとの来院人数
- 外国人患者の「診療科」「外来・入院」「救急・救急ではない」それぞれごとの人数
厚生労働省が公開している「多言語対応の診療申込書」には国籍、母国語、宗教上の理由で特別に配慮が必要な事項などの欄が設けてあり、外国人患者さんの特性が把握しやすくなっています。
受け入れ時にこのような資料を利用して、まずは自院の外国人患者の受診状況等を把握するところから始めてみるものおすすめです。
厚生労働省「多言語対応の診療申込書」(平成 29 年度改訂版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokusai/setsumei-ml.html
心構えと具体的な対応を組み合わせて体制を整備。

現状を把握できたら、それをもとに、具体的な受入れ体制整備方針を検討していきます。以下が決めておくと良い体制整備方針の一例です。
1.コミュニケーションの準備
- 言語能力の確認:患者の日本語レベル(会話、読み書き)を確認し、簡単な会話はやさしい日本語、診察時は医療通訳(電話・タブレット)、全く話せない場合は専門通訳を使い分けます。
- 翻訳ツールの活用:多言語対応の問診票やタブレット翻訳アプリを導入し、業務を効率化します。
- 態度・表情の合わせ方:患者の話を否定せず、声の大きさや表情(笑顔には笑顔で)を合わせ、共感的な姿勢で接します。 評価に沿って言語サポートを判断
2.医療費に関する透明性
- 事前説明と同意:自由診療となる場合が多いため、医療費の概算を分かりやすい言葉(母国語)で伝え、同意を得ます。
- 支払い方法の相談:分割払いや、支援団体との連携も検討します。
3.文化・習慣への配慮
- ステレオタイプを避ける:「〇〇人はこうだ」と決めつけず、個人の宗教・信条や文化を尊重し、質問の目的(円滑な医療提供のため)を伝えてから情報を引き出します。
4.医療機関の体制整備
- 情報共有とルール作り:言語サポートの利用方法などを具体的に定め、誰が対応しても一定レベルを保てるようにします。
- スタッフ研修:経験者からのレクチャーや、実務に即した研修を実施し、スタッフの不安を軽減します。
- 地域特性の把握:自院の地域に多い外国人の国籍や特性を把握し、必要なリソース(通訳サービス、支援機関)を検討します。
5.特に重要な対応フロー
- 受付:本人確認(在留カード、パスポート)、保険証確認、日本語レベルの確認、多言語問診票の利用。
- 診察・処置:医療通訳の利用、インフォームドコンセントの徹底、高額治療の選択肢提示。
まとめ

いかがでしたか?方針が決まったら、それに沿った具体的な手順やルールを決め、最後に、外国人患者受入れに関するマニュアル等を作成し、院内に周知していく流れをとるのが一般的です。
心構えと具体的な対応を組み合わせることで、外国人患者さんが安心して医療を受けられる環境を整え、医院スタッフの不安やストレスの解消にもつながります。
