こんにちは!飼い猫の口臭に悩み、自分より猫の口腔ケアグッズを買い漁っている歯科衛生士の末吉です。ところで、「漫画やアニメ鑑賞中に口の中の作画が気になる」「ドラマや映画に歯科医院がでてくると現実とのギャップにソワソワしてしまう」 これってシカジョあるあるですよね。作品に没入したいのに、シカジョの自分がついつい指摘したくなってしまう! そんなモヤモヤを抱えているシカジョの皆様に、Ciで働く歯科衛生士が、思わずぐっと身を乗り出してしまうような、歯科に関する作品を紹介いたします。


口の中がとにかくリアル!!伊藤潤二作 「双一シリーズ」

言わずとしれたホラー漫画界の巨匠、伊藤潤二先生。伊藤潤二先生はなんと歯科技工士の免許をお持ちで、デビューからの数年は技工士業と執筆活動を並行して活動していたご経験も。
最近では、人気K-PopアイドルグループIVEのメンバーが、伊藤潤二先生のデビュー作「富江」の主人公を意識したポーズをとり話題になりました。
幅広い世代にファンを持つ伊藤潤二先生の作品は、どれも独創的な設定やストーリーが魅力。また、ただ不気味、怖いというよりは、芸術的な美しさを感じるコマが多いのが特徴です。

数ある名作の中、特にシカジョの皆様にぜひおすすめしたい作品は「双一シリーズ」。
卑屈で陰湿な主人公 双一。そんな双一の趣味は、なんと人を呪うこと…!口にはいつも釘を咥えている、となんとも奇妙奇天烈な設定の本作。ストーリー自体も素晴らしいのですが、何より素晴らしいのは、双一の口元のリアル過ぎる描写です!釘を咥えている時の下顎のもたつきや、ニィッと不気味に笑う双一の歯や歯肉の質感まで、とにかくすべてがリアル!!!細部まで解剖学に基づいた描かれ方をしているため、歯科関係者は思わずじっくりと眺めてしまうこと間違いなし!
ホラー漫画なので恐ろしい描写もでてきますが、ギャグシーンも多く、読めば読むほど不思議と双一のことが愛おしく思えてくるので、ホラー作品が苦手だけどちょっと気になる、、、といった方にもおすすめです。

■伊藤潤二傑作集3 双一の勝手な呪い
伊藤潤二 著/朝日新聞出版/発売日 2011年
定価 1,100円(税込)/ISBN 9784022140616


©森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

歯科衛生士が登場!?長編SFアニメーション作品

原作は2006年11月に角川書店から出版された森見登美彦先生の長編小説です。翌年2007年本屋大賞2位を受賞し、今なお高い人気を誇るベストセラー作品です。こちらの小説が、2017年に湯浅政明監督の手によって長編アニメーション映画化され、主人公の声優を星野源さんが演じるということでも話題になりました。

京都大学らしき大学に通う主人公の男子学生が、同じ大学に通う女子学生に恋をして、癖の強い登場人物に絡まれたり、様々なアクシデントに巻き込まれながらも、不思議な運命の連鎖に惹かれ合っていく、といった内容です。
森見登美彦先生が描く、現実と非現実の境目がわからなくなるような不思議な京都観が、湯浅監督の手によってこれでもか!というほどポップでキュートで鮮やかにアニメーションへと昇華され、眺めているだけでドキドキワクワクできる作品です。

「歯科のシの字もないじゃないか!」と思ったシカジョの皆様、ご安心ください。なんと本作には、歯科衛生士として歯科医院で働く「羽貫さん」というキャラクターが登場します!!
医師や看護師、薬剤師の方が登場する作品は多く存在しますが、歯科衛生士が登場する作品はレアですよね。仕事中の描写はほとんどないですが、彼女の明朗快活な性格や休日の過ごし方に、「うちの職場にもこういう人いる!」「なんか自分と似ている、、、?」等心当たりのあるシカジョの皆様も多いのではないでしょうか。羽貫さんが疲れているシーンでは、「夏休み前の駆け込みで診療が忙しいのかな?院長の機嫌が悪い日だったのかな?」と、シカジョならではの視点から物語を考察できますよ。

【映画】夜は短し歩けよ乙女
2017年製作/93分/G/日本
監督 湯浅政明/原作 森見登美彦/脚本 上田誠/配給 東宝映像事業部

【原作】夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦 著/KADOKAWA/角川文庫/発売日 2008年
定価 616円(税込)/ISBN 978-4043878024


歯への情熱がきっかけで!?

Web漫画サイト、『モーニングツー』にて連載中の『オッドスピン』。
話題の短編作品「人間の水泳」「可愛い水」や、「かけ足が波に乗りたるかもしれぬ」で第80回ちばてつや賞一般部門佳作を受賞した大注目の漫画家、菅野カラン先生の初連載作品です。
今年の5月22日には第2巻が発売されたばかり。また、『モーニングツー』のサイトにて隔週木曜日に1話ずつ無料公開されるので、無理なくリアルタイムで漫画を追うことができます!

主人公は一卵性の双子、しっかり者の姉「英」と自由奔放な妹「蛍」。見た目はそっくりでも性格はバラバラの二人が、土地の所有者になりすまして金銭をだまし取る「地面師」となって活躍していくクライムサスペンスです。どこまでも普通の主人公2人が詐欺師としての腕をあげていく様子を、リアリスティックな絵柄で淡々と描かれていて、なんとも味のある独特の世界観を醸し出しています。

これまた歯科となんの関りがあるの?と思われるかもしれませんが、なんと、歯に対して並々ならぬ執着と情熱を持つ癖の強い歯科衛生士「奥」が登場します。奥は蛍のかかりつけ歯科医院で働いていて、歯に衣着せぬ指導でズバズバと責めまくります。日々患者さんからの口コミにおびえながら働いていた筆者的には、到底真似できない指導スタイルの奥に、所一種のあこがれを感じます。
奥は歯へのとんでもない情熱故に、双子の詐欺の片棒を担ぐことに、、、???
歯科衛生士として、患者さんの口腔環境を守る意識は皆様お持ちだと思いますが、まさかその思いが超えてはいけない一線を踏み出す要因になるなんて、、、シカジョの皆様もお気を付けください!

■オッドスピン(1)
菅野カラン 著/‎講談社/発売日 2024年
定価 759円(税込)/ISBN 978-4-06-534586-3

■オッドスピン(2)
菅野カラン 著/‎講談社 /発売日 2024年
定価 759円(税込)/ISBN 978-4-06-535484-1


まとめ

今回はジャンルが異なる3作品をご紹介させていただきました。衛生士として働き始める前からファンだった作品もありますが、衛生士として働くようになってから改めて見返すと様々な発見がありました。学校や実際の臨床現場で得た知識・経験が、もともと大好きだった趣味の分野にも彩りを与えてくれることにとても素敵なことですよね。少し見方を変えれば、いろいろな楽しみ方をできるのが創作物の良いところ。シカジョであるからこそ見える世界、楽しめる世界があります。ぜひシカオタ仲間とシェアして語り合ってください♪

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