令和6年6月に実施された診療報酬改訂により、CAD/CAMインレー製作時にデジタル印象採得装置(口腔内スキャナー:IOS)を用いて印象採得および咬合採得を行った場合、保険収載の対象となりました。これにより、口腔内スキャナーが今、注目を集めています。
この機会に導入を検討されている方や、模型デモでは見たけれど、口腔内では実際どうなのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。今回は、そんな方々に向けて口腔内スキャナーを使用した感想をお伝えしていきたいと思います!

口腔内スキャナー(IOS)とは

口腔内を小型のカメラで撮影し、高解像度の3Dデータを取得できる機械のことです。これを用いることで、従来の印象材の変形や石膏の膨張、埋没材の収縮といったさまざまな変形要因を減らすことができます。また、スタッフの作業時間や人的ミスを少なくすることができ、術者の技術レベルの差が出にくいため、より適合が良く精度の高い補綴物の製作が可能です。
さらに、患者さんにとっても不快感が少なく、短時間で終わるため、嘔吐反射がある方や小児でも負担を軽減できます。

SHINING3D社 『Aoralscan3』にて体験

現在、各社からIOSが販売されていますが、その中でもSHINING3D社の『Aoralscan3』を実際に使ってみました。Aoralscan3の特徴として、スキャンの速度・精度がともに高く、AIスキャンにより不要な軟組織データを自動で削除できます。また、本体が軽量(240g)なので、女性でも扱いやすい機種となっています。

速くなめらかなスキャニングを実感

オーダーシートを作成後、口腔内にスキャナーを入れるとすぐにスキャンが開始されました。臼歯部の咬合面をなぞるだけで、なめらかに読み取ることができます。また、スキャン深度(被写界深度)が22mmと深いため、難しい隣接部もスムーズに撮影でき、読み取るスピードも速いです。本体は取り回しが良く、患者さんの口に入る先端チップも大きさが選べるため、小児や開口量が小さい方にも対応できます。また、スキャン後もクラウドを使って簡単に、歯科技工所にデータを転送できます。

従来の印象採得と比較して

従来の印象材を使った印象採得と比較して、患者さんやスタッフの負担がかなり軽減されると感じました。印象材は硬化後に外した際、正しく採得されていない場合は初めからやり直しが必要ですが、IOSでは画面上ですぐに確認でき、追加スキャンや再スキャンが可能です。最初はスキャンに慣れるまで何度も練習が必要でしたが、使用回数を重ねることで上達しました。また、開口量やチップの当て方を工夫することで、患者さんがお口を開けている時間や顎への負担を軽減しながら撮影できます。

口腔内健康レポートを患者さんと簡単共有

Aoralscan3では、スキャンデータを使用してカリエスや歯周病、歯肉炎、歯並びなど口腔内の疾患を示す口腔内健康レポートを生成できます。レポートは作成後すぐに二次元コードで表示が可能、患者さんにスマホで読み取ってもらうことで簡単に共有できます。手元のスマホでいつでもレポートを確認できるため、治療への関心・理解度が深まり、モチベーションの向上にもつながります。

気になる患者さんの反応は?

IOSでの印象採得は、その速さに患者さんが驚かれます。従来の印象材を使用する場合、硬化時間が必要で、印象用トレーと印象材で口がいっぱいの状態で待つ時間が長く感じられます。そのため、スキャナーを使用することでその負担が軽減され、患者さんに喜ばれました。また、スキャン画像はリアルな色調のため、口腔内健康レポートを共有した際に「これはすごいですね!」とご自身の口腔内画像を熱心にさまざまな角度から見て、高い関心を示していただきました。

まとめ

IOSの精度は向上しており、その利便性については多くの方が実感されています。印象採得だけでなく、スキャナーに付随するソフトウエアにはさまざまな機能があり、今後のアップデートによりさらなる活用の幅が広がることが期待されています。
治療の精度が向上し、院内業務の効率化が図られ、患者さんへのコミュニケーションツールとしても活用できることで、導入のメリットは大いにあるのではないでしょうか。

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※参考:厚生労働省のWebサイト
令和6年度 診療報酬改定についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

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