歯科医師であるご主人と、大阪で『T&Rデンタルクリニック』を開業している歯科衛生士の吉垣理恵さん。丁寧なメインテナンスによる予防歯科に加え、オーソモレキュラー栄養医学を取り入れた診療で、口腔内のみならず全身の健康作りのサポートを行っている。

PROFILE

吉垣理恵(よしがき・りえ)
愛知県のクリニックにて8年間勤務。歯科医師のご主人との結婚を機に、『T&Rデンタルクリニック』を開業。スタディグループ『D-Free』代表。オーソモレキュラー分子栄養医学協会認定講師。

T&Rデンタルクリニック
大阪府大阪市住吉区我孫子東2-1-6 アビコエイトビル1階1C
https://www.t-and-r.net/

スタディグループ D-Free
@d_free_study


― ご夫婦で開業されたとのことですが、どのような歯科医院作りを考えていたのでしょうか?

吉垣 主人も私も歯科家系ではなく、私たちの代から歯科医院を立ち上げたということで、最初は何もかもが手探り状態で大変でしたね。ただぼんやりと、一時しのぎではなく、患者さんを将来にわたって健康にしたいという想いがあり、そのためにはまず再治療をなくさないといけないと考えていました。主人がPESCJ(ペンエンドスタディークラブインジャパン)で歯内療法を学んでいましたので、自費のエンドメニューをはじめとした精密な治療と歯周外科、加えて私を含めた歯科衛生士によるメインテナンスを軸にしていこうと決めたわけです。

― 一時しのぎではない、将来を見据えた予防となるとなかなか難しいですね。

吉垣 開業当初、地元の患者さんを診ていると、定期検診というものがあまり定着していない地域と感じまして、まずは定期検診を定着させることを目的にしました。それはある程度達成されたのですが、逆にこのままでは良くないなとも思い始めたのです。定期検診に来て早期発見、早期治療をするだけの二次予防、三次予防では医院は儲かるかもしれませんが、いつまでたっても患者さんは本当の健康を手に入れることはできません。そこから、徐々に一次予防を強化したスタイルにシフトチェンジしていきました。

― 保険適用以外でも、自費メインテナンスメニューも人気があるとか?

吉垣 患者さんの予防への意識を高めるために、トリートメントケア1ヶ月集中プログラムというメニューを提供しています。トリートメントケアでは、PMTCの仕上げに、ナノ粒子ハイドロキシアパタイトを使用するのですが、歯の表面の傷を修復し、滑らかにすることで汚れの再付着も防ぐことができます。それを1週間に1回、1ヶ月間集中してご来院いただくことで患者さんの行動変容も起こしやすいですし、その後の来院にもつながっていますね。

― オーソモレキュラー栄養医学も診療に取り入れているとお聞きしました。

吉垣 こちらは自費メニューとしてお金をいただいているわけではないのですが、患者さんの健康作りの手助けになるかなということで診療に取り入れています。私自身、もともと栄養学を勉強していたわけではなく、管理栄養士でオーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定ONP(オーソモレキュラー・ニュートリション・プロフェッショナル)である日比洋子さんとの出会いがきっかけでした。お話を聞いているうちに興味が沸き、自分自身でも試してみたところ体調に良い変化があったんです。それで、患者さんの健康作りの手助けにもなるのではないかと思い、認定ONPを目指すことを決意しました。

― オーソモレキュラー栄養医学とはどういうものなのでしょう?

吉垣 分子栄養学や分子整合栄養医学とも言われるように、血液検査で栄養状態を分子レベルで解析し、結果に合わせた食事療法やサプリメントの摂取などで細胞の機能改善を促すというものです。身体の中に正常にあるべき分子を至適濃度に保つための充分量の栄養素があるかないかというコンセプトですので、病院や健康診断などで異常が認められないのに、なんだか体調が悪いという場合にも対応できます。

― 患者さんに対してはどのようにアプローチされているのですか?

吉垣 もちろん問診も大切ですが、問診では患者さんが隠す部分もございますので、普段のコミュニケーションを重視しています。例えば、「普段は何を飲んでいるのか」という会話の中で、「コーヒーばかり飲んで、あまり水を飲んでいない」という方が多いですが、そういう場合には、「試しにカフェイン抜きの生活をしてみませんか」という感じですね。実は、私自身が経験者で、カフェイン抜きをしたところ体調や肌の調子が良くなったんです。オーソモレキュラーを学ぶ前は、何も考えずにコーヒーを毎日飲んでいたのですが、体調不良の一旦がカフェインにあったとは思いませんでした。

― 患者さんの栄養状態が歯科治療に関係してくるケースもあるのですか?

吉垣 もちろんです。例えば、歯周病の患者さんにこちら側としては最善の治療を行っているけれどもなかなか良くならないことが少なからずあります。そういったケースでは、食べているものや栄養状態に問題があることが多いです。会話の中で、炎症が起きやすい食べ物を多く摂取しているなと感じた場合は、「1週間だけ変えてみてください」と提案すると、成果がすぐに現れてくることが多いので、患者さんの納得感にもつながりますね。

― クリニックでの臨床に加え、スタディグループも主宰されているのですね。

吉垣 コロナ禍でオンラインセミナーが多くなってきたときに、同じセミナーを受講した歯科衛生士同士で、より楽しく仕事ができて、様々な知識を得られる場を作りたいということで、スタディグループを立ち上げました。歯周治療やマイクロスコープなど何かに特化したスタディグループがありますが、専門的なことはそちらにお任せして、臨床で活用できる多様な情報を共有したいと考えています。ですので、企画するセミナーも臨床に則した実践的なテクニックからオーソモレキュラーのような歯科以外のテーマまで幅広いです。色んな引き出しで患者さんの健康作りのお手伝いができる歯科衛生士が増えていくことで歯科の幅も広がるという想いで、今後も頑張っていきたいと思います。

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