示し合わせたように、不思議と患者さんのキャンセルが続く日ってありませんか?
仕事が減った嬉しさを院長先生に悟られないように、「カルテ棚の整理整頓でもしようかなー」と、暇つぶしの方法をぼんやり考えていたまさにその時!突然院長から告げられた「医院のSNSアカウント作ってよ」という言葉。当時20代前半でありながらもSNSに全く触れてこなかった筆者が、目を白黒させながら奮闘した経験をもとに、超基礎的なSNS運用に関する知識を伝授いたします!

医院のSNSアカウントって本当に必要?

これは院長からお話があって、まず初めに思い浮かんだことです。当時はSNSに対して「美味しそうなご飯の写真をあげるもの」という漠然としたイメージしかなく、どれくらいの年齢層の方々が、どのような目的で利用しているのか全く知りませんでした。歯科医院としてSNSを運用する以上、まずターゲットを知る必要があると考え、利用者層を調査しました。

総務省が2022年に調査したデータによると、国内のSNS利用者の割合は全体で約8割を超えたそうです。世間的に、SNSは若年層の中で流行っている物、というイメージが強いように思いますが、年齢別の利用率で一番低い80歳以上でも約5割以上の方がSNSを利用しており、SNS自体に高い需要があることがわかります。SNSは歯科医院と外の世界を繋ぐ重要なツールになるのでは?と感じ始めました。

(出典)総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」P22 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/230529_1.pdf

主要SNSの特徴

SNSごとに、ユーザー層や「ウケの良い」投稿内容が異なります。医院の強みを最大限アピールできるように、SNSごとの特徴をお伝えします。

1. Instagram

写真や動画の投稿が中心のSNSです。簡単な編集作業はInstagram内で完結します。
主なユーザー層は10~20代ですが、子育て世代が情報収集のために活用しているケースも少なくありません。また、女性の利用者が多いという特徴があります。医院の雰囲気が伝わるような写真の投稿や、物販・院内イベントの告知におすすめです。

2. X(旧Twitter)

Instagramとは対照的に、文章での投稿が中心です。
主なユーザー層は10~30代です。今回ご紹介するSNSの中では、一番操作が簡単でお手軽に情報発信が可能です。急な診療日変更や休診のお知らせなどにおすすめです。

3. Facebook

SNSの多くは匿名でも利用可能ですが、Facebookは実名登録です。他のSNSに比べ、ビジネスシーンを中心に使われているSNSです。
そのため、ユーザー層も30~40代と他のSNSより高い傾向があります。
投稿の自由度が高いため、医院の症例を解説付きで投稿したり、プロフィール欄に医院の営業時間を載せることも可能です。

SNSで医院の認知度アップ

では、SNSを使って実際にできることをご紹介していきます。前述したとおり、SNSごとにユーザー層や使える機能・特徴が異なります。要点を抑え、効率よく医院の存在をアピールしていきましょう。

1. Instagram

プロアカウント(ビジネスアカウント)登録をする
個人アカウントでも情報発信自体は可能ですが、プロアカウント登録することにより、医院のマップ情報や電話番号、メールアドレスを表示できます。またインサイトという分析機能も利用できるため、SNS運用の対策案が立てやすくなるメリットがあります。
特別な審査はなく、無料で簡単に登録できるので活用しましょう!
※Instagramのプロアカウントは、個人用アカウントで既に登録していても設定欄から簡単に切り替えることができます。(FB個人ページへのシェアが不可となるため、プライベートとビジネス用で併用している際は注意!)

ハッシュタグを利用した投稿
投稿をより多くの人に見てもらうために使用します。
投稿に関連するキーワードを複数ピックアップし、そのキーワードの先頭に「ハッシュ:#」を入力します。Instagramでは検索の際に、このハッシュタグを利用するため、ある程度検索されやすいワードを選んでタグ付けしましょう。また女性の方が多く利用しているという特徴を活かし、美容に関連する情報をアップすることもおすすめです。
例)ホワイトニングの症例を紹介する投稿内に「#歯医者 #ホワイトニング」と入力
※全角入力だとハッシュタグとして認識されないので注意。

2. X(旧Twitter)

トレンドを意識した文章を投稿
Xには、現在X上で話題になっているキーワードを表示するトレンド機能があります。
トレンドに上がったキーワードは検索されやすいため、投稿文にいれることにより、より多くの人の目につきやすくなります。あまりにもトレンドを意識しすぎた内容は、情報精度が下がり敬遠されてしまうため注意が必要です。多くの人が話題にしやすい天候に関する内容はトレンドに入る傾向も強いため、悪天候の日に患者さんを気づかう内容を投稿する等、あくまでさりげなく意識することが重要です。

3. Facebook

Facebookページ(ビジネスアカウント)登録をする
先ほど紹介したInstagramのプロアカウントと同様、個人アカウントでは利用できない機能が使えるようになります。Instagramと異なる点としては、実名登録が原則なので、医院運用するためにはFacebookページの登録が必須です。管理者となる人の個人アカウントを用意し、そこからページ作成を行うことで医院での運用が可能になります。無料で作成でき、個人アカウントの情報は一切表には出ないので安心して使用できます。

医院のブランディングの確立
他のSNSよりややフォーマルなFacebookでは、日常的な投稿よりも、医院としてアピールしたい強みを意識して投稿しましょう。ユーザー層が他SNSより高い傾向を活かし、「自費治療に自信がある」や「PMTCに力を入れている」など、ハイグレードな医院というイメージのブランディングにおすすめです。

SNS運用の課題

ここまでSNSのメリットを紹介してきましたが、実際に運用をして感じた課題を開設していきます。

炎上リスク

誰でも簡単に利用できる反面、SNSでは常に多くの人に「見られている」という意識を持つことが重要です。様々な年齢、立場の人が利用していることを常に考え運用しましょう。何かを強く非難するような内容や差別的な内容はもちろん、意図していなくても受け取り手によっては「悪意がある」、「非常識だ」と捉えられてしまう可能性があります。

運用ルールの設定

とりあえずアカウントを開設して、なんとなくポツポツ投稿して…というスタイルでは、長期的な運用には不向きです。ネタ探しから投稿まで、意外に労力を伴うSNS運用。
スタッフ間で共通の認識を持ち、アカウントに統一感を持たせるため、運用ルールを設定しましょう。運用ルールの設定は万が一炎上等のトラブルが起きた際の素早い対応にも繋がります。投稿スケジュールと、投稿内容のフォーマットはルールとして設定することをおすすめします。
月の初旬は診療スケジュール。中旬は物販紹介、下旬は治療説明、といったように、どの投稿内容に対してもコンスタントに発信できる仕組みがあると、フォローしてくれた方々に飽きを感じさせない活動ができます。

作業時間の捻出・効率化

診療中心で業務が回る歯科医院で、一番苦労する点がこの「時間の確保」だと思います。見栄えのいい資料や画像を用意したくてもそんな手間をかけていられない!という悩みをお抱えの方に向け、私が実際に活用していた便利ツールを紹介します。

Canva(キャンバ)
無料で使えるグラフィックデザインツールです。たくさんのテンプレートから好きなものを選択し、内容を書き換えるだけでSNSに投稿できる画像が出来上がります。Canvaは特にSNS向けのテンプレートが多く存在しているため、よりおすすめです。
難しい操作はなく、無料で使えるイラストなどの素材も豊富なので、誰でも簡単におしゃれな画像・資料が作成できます。
オーストラリア発のデザインツールですが、「キャンバ日本公式note」も運営し、日本人デザイナーによる日本のユーザーのためのデザインテンプレートも揃えているんです!また、自分で作成した画像は保存することでテンプレートとしても活用でき、複数人でSNSを管理する上でのバラつきを防ぐことができます。

まとめ

大変なことも多いSNSですが、実際に運用してみると、患者さんから「この前Instagramでおすすめしていた歯ブラシを買いたい!」と言ってもらえたり、「最近着色が気になるんだけど、食べ物によって付きやすいものとそうじゃないものがあるって本当?次の投稿のテーマにしてよ!」と患者さんからネタを提供してもらったり…と嬉しい出来事も多かったです。

今回は、歯科医院のSNS活用・運用方法について解説しました。
歯科医院がSNSを運用することによって、低コストで医院の存在をアピールできるので、新患獲得や、既存患者さんとのコミュニケーションツールとしても有効です。
その反面、炎上リスクへの配慮を欠かさずに、正確な情報発信を心がけましょう。

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